みさとさんとはるちゃん①

今回は、みさとさんとはるちゃんのあゆみについてお話しを伺いました。


はるちゃんの背景
はるちゃんは、妊娠中に総排泄腔遺残症の胎児診断を受けて生後1日目にストーマを造設しています。そして1歳で根治術を受けられました。
今回は、ストーマ閉鎖術のこと、そしてそれからの生活についてアンケートをもとにお話をしていただきました。
はるちゃんは、1才3ヶ月でストーマ閉鎖をされていますね。この期間のはるちゃんはどんな様子でしたか?
ストーマ閉鎖術後の絶飲食期間、娘は笑うこともなくしゃべることもなく、ただずっと横になりぼーっとしていました。
術後、割とすぐにご飯を食べられるようになったものの、お腹が痛いのか、ぐったりしていることも多く、笑顔も口数も少なく、別人のようになってしまったようで、とても心配しました。
検査の結果、腸がはっていて腹水もあると言われました。
幸い縫合不全にはなっておらず、自然に腫れも腹水もおさまってきました。

術後、娘さんが別人のようになったり、体調に変化があったりとご心配だったことと思います。体調が落ち着くまで、どのぐらいかかりましたか?また、はるちゃんの様子はどうでしたか?
ストマ閉鎖術から1週間くらいかかったと記憶しています。
ストマ閉鎖術自体はとても良い形できて(ストマをひっくり返して一部を縫い合わせる)、レントゲンやらエコーでも閉鎖した箇所が問題なかったので、術後3日目くらいから飲食が少しずつできるようになってきて、体力が戻ってきた感じでした。
そうだったのですね。
しかし、今度は排尿のトラブルが発生して、急遽追加手術をすることになりました。
娘のメンタルが心配でしたので、主治医と相談して、一度自宅に帰宅しメンタル回復してから再度入院手術を受けることに。
とてもつらい日々でした。
まだおしゃべりができない頃でしたので、娘の気持ちを汲み取ってあげることができずに辛かったです。
腸の経過が落ち着いてきたころに、今度は排尿のトラブルが発生したのですね。詳しく聞かせてもらえますか?
娘は根治術後、切り離した共通管の治りが悪く、ストマ閉鎖までの間、自宅でも尿管を常につけた状態で過ごしていました。
なのでストマ閉鎖術後に、尿管を外して、共通管(今後は尿道として使用)の再評価をすることになっていました。
術後状態が安定したのち、尿管を外してみると、翌朝には膀胱がパンパンに膨れ上がっており、膀胱尿管逆流症が悪化して水腎症のグレードが上がっていることが発覚しました。
今のままだといつ尿路感染症になってもおかしくないこと、娘は片腎なので、腎臓に傷をつけるのは避けたいこと、また自排尿はあるけど、すべてを出し切ることができていないこと(神経因性膀胱)、共通管から膀胱に導尿するのはかなり難しい(膀胱の位置が上のほうだから)ので、別の方法で膀胱にアクセスすることを検討したいと言われました。
追加手術はどのような内容(説明)でしたか?
膀胱尿管逆流症に対する手術と、腹壁導尿路、もしくは膀胱皮膚ろうを作成する手術です。
はるちゃんの心の安静を考慮し、一時退院し、その後再度入院手術でとても大変だったことと思います。みさとさんのお気持ちも想像するだけで辛かっただろうと思います。  
追加手術の説明を受けたときは、ショックではじめて主治医の前で泣きました。
これまで排尿は自力でできていたので、ストマ閉鎖すればもう大きい手術はないと思っていたんです。

それがまた開腹手術で、膀胱皮膚ろうもしくは腹壁導尿路にするという説明でした。
主治医とお臍に腹壁導尿路を作成するという方向で、数日間話し合いを重ね、開腹してみてリスクがあるなら膀胱皮膚ろうに切り替える(1歳で腹壁導尿路をお臍に作った例がほとんどないためできるかわからない)ということで手術することになりました。
実際には、無事にお臍に腹壁導尿路を作れて手術は成功でした。

このときのわたしのメンタルは過去最高にズタボロでした。
内容が難しすぎて、人に話したところで理解してもらえないですし、とにかく主人と大丈夫、大丈夫と励まし合っていました。

あとはやはり娘の存在です。
こんなに小さな身体で何度も手術して、娘のほうがわたしの何倍も何百倍もしんどいし、辛いし、頑張ってる!と思うと、メソメソしてる自分が情けなくて、前を向いてみんなで頑張ろう!と思いました。

大変な時期でしたね。結果的に腹壁導尿路にしたことが、うまくいって本当によかったです。ママのはるちゃんへの想いに先生方も向き合ってくださったのですね。
追加手術の際のエピソードがありましたら教えてください。
2つの手術を同時に行って、どちらも無事に成功しましたが、今度は術後、乳びがでてしまい、絶食の日々がはじまりました。
乳びが止まるのは個人差があって2.3週間かかる子もいれば、1ヶ月以上かかる子もいるという説明で、その間基本的には絶食で乳びが自然に止まるのをとにかく待つしかないと言われ、絶望でした。
元々食べるのが大好きな子なので、絶食がはじまると、また笑顔もないしゃべらない座らせてもすぐに横になってしまう無気力な感じになってしまいました。
まるでお人形のようでした。
絶食期間は術後1週間でした。
2週間目から、MCTミルクがスタートになりました。
娘はミルクは飲むけど、笑顔もなくあまり泣くこともせずただボーッと横になって過ごしていました。
そこで先生方から、脂質が0の飲み物なら飲ませてもいいと許可がおり、ジュレを買って面会に行きました。
娘にジュレだよ〜!と見せると、目を大きく見開いて「飲む!!!」と大きな声でしゃべったんです。
ジュレを一気飲みした娘は「もっとちょうだい!」と訴えてきて、いつもの娘が少し戻ってきたようで嬉しかったのを覚えています。
それからは色んな味のジュレを飲ませたりして数日過ごして、2週間と少し経過したころには、MCTの離乳食もスタートして、みるみる元気になっていきました。
乳びも3週間ほどで落ち着きました。
このときの入院は、根治術のときの入院よりも辛かったです。
日に日に弱っていく娘を前に何もしてあげられない自分に無力でした。

子どもの絶食は見ているのが辛いですよね。長期間そばでつきそわれ、見守ることしかできない無力さは同じ疾患のママとしてとても共感します。みさとさん自身が不安に思うことや悩んだりしたことを相談できる人はいましたか?

一番は、主治医とサブの医師です。
不安や悩みは、いつも先生方に伝えていました。
親身になって話を聞いてくださったり、私の不安に対して追加検査をすぐにやってくださったり、本当に信頼できる医師に出会えて良かったと思います。
他にはTwitterで知り合ったママさんたち。
SNS上でやりとりして沢山励まされました。
家族に関しては、夫は仕事が忙しかったですし、両親には心配かけたくなくて、あまり詳しくは説明せずいました。

お医者さんが信頼できて、すぐに対応してくださると本当に心強いですよね。

つぎはストーマ閉鎖後の排便についてお伺いします。排便コントロールは浣腸で行われていたとのことですが、1日何回どのタイミングでされていますか?



1日1回夕方に浣腸しています。
浣腸後はトイレやおまるに座っていますか?あるいはオムツですか?

現在はまだオムツで排便しています。
浣腸後はどのくらいで排便がありますか?排泄時間はどんな風に過ごしていますか?また、その時のはるちゃんの様子や反応はどうですか?
うんちができるまでに大体30分から1時間かかります。
浣腸は嫌がらずにやらせてくれます。タブレットでYou Tubeを見たり、浣腸後、お腹が痛くならなければ、起き上がって遊びだすこともあります。
排便のために飲んでいる薬はありますか?また食生活で、気をつけたり工夫していることはありますか?
薬は飲んでいません。
便秘でもなく排便は順調なので、食生活も特に気をつけていることはありません。
(今は好きなものしか食べない時期ですね)
便もれはありますか?

ストマ閉鎖後3ヶ月くらいはおむつ交換のたびにうんちがでていました。1日に8回ほど排便していました。
当初は、うんちが下からでてくることが良いこと!と思い、頻度の高い排便に関して気にしていませんでしたが、主治医に話すと、すぐに排便コントロールしなければいけないと言われ、主治医と試行錯誤を繰り返しながら、現在では日中漏れることなく過ごせるようになりました!
ストーマ閉鎖後、肌トラブルがあるとのことでしたが、何度も続きましたか?また、今でも肌トラブルはありますか?
肌トラブルは、お股が赤くなってオムツ替えのときに痛がる程度の状態を繰り返しました。
亜鉛華軟膏を塗れば一晩でよくなります。
現在でも、たまに夜寝ている間にうんちがでてしまったりすると、朝お股が赤くなることはありますが、その時も亜鉛華軟膏を塗っておけばその日中には治ります。
肌トラブルに関して、みさとさんが悩んだ時、相談できる人はいましたか?
肌トラブルに関しては、外科の主治医が相談相手です。
ストマ閉鎖後、お尻が荒れるから、馬油を事前に塗っておくと荒れがましになるという報告もあるから試してみてはと言われ、根治術後の3ヶ月間お風呂上がりに馬油を塗っていました。
そのおかげなのか、肌トラブルも赤くなる程度ですんでいます。
排便がスタートして大変だったエピソード(頻度が高く何度もオムツ替え)、私も同じでした!
今現在、排便に関して、悩んでいることや不安なことはありますか?また相談できる人はいますか?
毎日の浣腸が大変です。
浣腸したあとうんちができるまで1時間かかるので、夜のスケジュールを組むのが大変です。
寝るのが遅くなったり。
今はまだ横になっている状態でしていますが、もっと大きくなったときどんな体制で浣腸するのがベストなのか、とか、娘に「なんで毎日浣腸しないといけないの?」と聞かれたときの答え方など、不安はつきません。
Twitterで繋がってるママさんや、同じ病院に通っているママさん、主治医に相談すると思います。

ストーマ閉鎖直後と、今現在の排便のための処置や飲み薬に変更はありましたか?

ストーマ閉鎖直後は、使い捨ての浣腸液を使用していましたが、肛門括約筋が弱く液が漏れてしまい効果が得られませんでした。そのため、33センチのカテーテルを使って腸の奥の方まで浣腸液を入れていました。
現在は、娘が歩くようになって肛門括約筋が以前より育ってきて、使い捨ての浣腸液でも効果がでるようになったので、使い捨てを使っています。

みさとさんとはるちゃんは②へ続きます。

モモの会

ピアサポート 【モモの会】です。 モモの会は総排泄腔疾患の娘を持つママたちの集いで、こちらのサイトはモモの会のメンバーで運営しています。

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