SさんとKちゃん③

引続き、Sさんにお話を伺いました。

今回は根治術についてです。



根治術についてお伺いします。1歳6ヶ月〜2歳で根治術をされたそうですが、時期や方法について、医師からどのような説明がありましたか?

1歳10ヶ月の時に手術しました。
方法は、開腹及び腹腔鏡で、外科→泌尿器科の順で手術を行うとのことでした。
内容は、お尻の穴を作ること、尿管逆流防止術、膣、膀胱を出口近くまで分けるとのことで、術後は、しばらく導尿が必要になる可能性があり、これまでのカテーテルの入れる感覚が変わると思われるとのことでした。
足の固定は約1週間。
入院は約3週間。
朝9時に手術室へ行き、術後、PICUでお顔を見れたのは夜11時過ぎでした。

朝から手術に向かい、夜、お顔を見るまで本当に長かったことと思います。根治術を受けるにあたり、Sさん自身はどのようなお気持ちでしたか?

外科、泌尿器科の先生方が、協力をして最善の時期に最善の方法で手術をしてくださるのだと思い、ただただ、無事に手術が終わることを願うばかりでした。

先生を信じて、手術に向かう子どもには無事に終わると願うことしかできませんよね。根治術後、自然排尿だったのが出なくなり、約8ヶ月導尿が必要になったそうですね。出産後の入院期間後にも導尿が必要になった時期がありましたが、根治術後も、導尿の可能性があることの説明が医師からありましたか?またその時のお気持ちを教えてください。

導尿が必要になる可能性のことは術前に聞いていましたので、心の準備は出来ていましたし、とにかく娘にとって必要なケアを一生懸命するのみでした。

導尿の際はKちゃんはどんな様子でしたか?嫌がったりなどありましたか?

術前の先生からの説明どおり、以前の導尿時と異なり、膀胱までカテーテルがすんなりとは入らなくなり、すごく苦労しました。娘も初めは大人しくゴロンと寝てくれてても、なかなかうまく入らず、時間がかかると嫌がってきますし、すごく焦りました。退院後もうまくカテーテルが入らず、やり方を再度教わるために急遽、病院に駆け込んだりもしました。
カテーテルの長さを短いタイプにしたり、導尿の前に少しだけカテーテルを冷やしておくと、入りやすくなり、また入れる角度もコツをつかんで慣れてくると、すんなり出来るようになりました。
導尿、お尻のブジー、模擬便の練習、パウチ管理とその頃はケアが盛り沢山でした。
排尿に関しても、少しずつ自排尿も出てきていたので、自排尿の量と、導尿で出た尿の量を都度量ってそれぞれノートに記録していました。
慣れるまでとにかく毎日のケアで必死でした。


付き添いされていましたか?約3週間の入院期間中、Sさんの体力的・精神的負担はかなり大きかったと思います。その時の不安や悩みを相談できる人や支えてくれる人はいましたか?

入院中は一度も帰宅せず付き添っていました。病院に隣接している家族用の宿泊施設で寝泊まりしていました。
支えになったのは、平日に1日おきに面会に来てくれる実母と、そして毎晩、夫と電話をすることです。
母は、片道約2時間かけて面会に来て、私と娘の衣類を持ち帰り、洗濯をして、次回面会時に持ってきてくれていました。母と病院の食堂でお昼ごはんを食べて、話をすることが気分転換になっていました。
それから、寝るために宿泊施設に戻ったある日の夜、お部屋のドアに手作りのクリスマスリースが飾られていて(ボランティアの方の手作りです)、すごく気持ちが救われて、温かい気持ちになり、涙が出たのを覚えています。


お母さまやパパさんも、みんなでSさんとKちゃんを支えていたんですね。ボランティアの方の優しさにも涙が出てきますね。根治術後、しばらくKちゃんの元気がなく、とても心配だったことと思います。また固定(マーメイド)もあり、KちゃんもSさんも、抱っこしたくてもできないという非常に辛かった期間があったと思います。その時のSさんのお気持ちや、Kちゃんの様子を教えてもらえますか?


術後5日位までは、か細く小さな声で少し声を発する位で、好きな絵本やぬいぐるみを見せても反応がほとんどなく、しんどいのだと思いました。大きな手術だったんだなと改めて感じましたし、この元気のない状態がいつまで続くんだろうかと心配しました。そんなか細い、かすれた声で、かなり頑張って出したことばが、『しゃんしゃん(お母さん)』と『抱っこ』でした。
点滴や足の固定で抱っこ出来ないのが本当に辛く、『ごめんね。お母さんも抱っこしたいんだけど、まだ出来ないんだよ。ごめんね。』と泣きながら娘の手を握りました。
6日目から抱っこが出来て、とても嬉しく、娘の反応も少しずつ良くなり、声も出るようになってきて、ホッとしたのを覚えています。


抱っこしたくてもできない固定の時は、SさんもKちゃんも本当に辛かったですね。大きな手術や入院を頑張ったお子さんに対して、どのような思いでしたか?

"良く頑張ったね。えらかったね‘’という気持ちと、心臓の手術も含め何度も手術を頑張ってきて、何一つ代わってあげられない心苦しさと申し訳無さが入り混じっていました。


最後に、病気が分かってからの事を振り返っていただきましたが、あの頃のSさんご自身に向けて何か声をかけるとしたらどんな言葉をかけますか?(総排泄腔疾患の)新米ママさんや出生前診断をうけた妊婦さんへメッセージがあればお願いします。

あの時の私には、『大丈夫だよ!今、Kちゃんとっても元気に毎日笑ってすくすく育っているよ。なんとかなるからね!』と言ってあげたいです。
同じ病気のお子さんを持つママさんには、『道はひらけます。なんとかなります!大丈夫。私も同じ気持ちでしたが、なんとかやってこれました。一人じゃないですよ。』とお伝えしたいです。

Sさん、アンケートとインタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。

モモの会

ピアサポート 【モモの会】です。 モモの会は総排泄腔疾患の娘を持つママたちの集いで、こちらのサイトはモモの会のメンバーで運営しています。

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